中国の過酷すぎる受験戦争:トイレに行く間もなく

2025年6月7~8日の2日間(一部地域では9日までの3日間)、中国の大学統一入学試験、通称「高考(ガオカオ)」が行われた。
今年の受験生の数は1335万人で、昨年より約7万人が減少したが、史上2番目の規模である。

2025.07.31
過酷すぎる受験戦争 トイレに行く間もなく、「人間らしさ失っている」【洞察☆中国】

https://www.jiji.com/jc/v8?id=20250731-won

親も学校も警察も、社会を挙げて受験生応援

受験生にとって「高考」の2日間は、これまでの12年間の学習成果が試される場であり、厳しい競争を勝ち抜けるかどうかで、今後の人生が決まってしまうと言われるほどの一大イベントである。
大学進学、特に有名大学への進学が、その後の就職に大きな影響を与えるからだ。
受験生は強いプレッシャーの中で試験に臨むことになる。

このため、社会全体が受験生のためさまざまな「配慮」と「便宜」を与え、応援ムードが高揚する。
まず、試験前には、学校が大規模な“誓師大会”(壮行会)を開催し、受験生を鼓舞する。
試験期間中には、警察が試験会場周辺の道路で受験生の送迎車両のために交通整理を行うほか、静かな環境をつくるために工事現場も作業を中断。
そして、ボランティアたちは無料の“愛の送迎車”で受験生を送り迎えするなど、試験会場の外でさまざまな支援を提供する。

受験生の親たちも「高考」の前後期間中に、仕事を休んで子供に付き添い、全力で支える。
近年では、一部の受験生の母親の服装に変化が表れた。
なんと、今はもうほとんど着ないチャイナドレスを身に着けるようになったのだ。
それは、チャイナドレスの中国語の「旗袍(チーパオ)」の「旗」という字は、縁起の良い言葉「旗開得勝」(旗を掲げたらすぐさま勝利を収める)と同じ字だからだ。

また、受験生に向日葵(ひまわり)を贈る儀式もある。
向日葵の中国語の発音は、中国語の「一挙奪魁」(一挙に首位を勝ち取る)」とほぼ同じためである。
いずれも「いい成績を収めるように」という心を込めた祝福であるが、異常とも思えるこうしたもろもろの現象は、中国の現代社会を象徴している。

休憩わずか8分、トイレにも行けないスパルタ教育

経済の急速な発展とともに、社会での競争が増している。
誰もが良い大学に入って、良い会社に就職して出世し、高い収入を手に入れたい。
これは昔からの中国の伝統的な考え方でもあるが、都市部の受験生はほとんど一人っ子であるため、親子とも「失敗は許されない」という過剰な心理になっている。
一方で、格差が激しい中国では、農村の受験生にとって、「高考」は数少ない「公平な道」であり、運命を変える唯一のチャンスと言える。
「高考」のために必死に勉強してきて、これまでの人生において最も厳しい修行をしてきたと言っても過言ではない。

「高考工場」「受験訓練所」などと呼ばれ、全寮制でスパルタ教育を行い、高い進学率を実現している高校が全国の各地にある。
学生たちは高校3年間で休日はほぼなしで、毎日秒刻みのスケジュールで勉強に励んでいる。
近年、学生たちの健康状態が社会的な問題となり、近視、うつ病、体力不足などが問題視されている。
先月、中国の主流メディア「南方週末」の報道によると、山東省にある有名な進学校の過酷な時間管理により、学生たちの“トイレに行く時間”が奪われているという。

つまり、授業の間の10分間の休憩時間を「8+2」(8分間の休憩と2分間の教室での待機)に分ける方式を導入したことで、もともといつも大変混雑しているトイレには、わずか8分間で、とても用を足す時間がないというのだ。
もちろん、多くの学校では授業中にトイレへ行くことが許されていない。

生理的な排せつ行為を抑制される実態が、学生の心身を深刻にむしばんでいることに、「学生が“排便できない”状態にされているなら、教育はすでに人間らしさを失っている」とマスコミが猛烈に批判した。

6月下旬以降、各地の「高考」の成績が相次いで発表される。
毎年のように、成績が発表されると、喜んで天に昇る家もあれば、悲しみに暮れる家もある。
しかし、いずれにしても、若者にとっては、まだまだ続く過酷な競争の通過点でしかない。

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